「日本男児は家では働かない!!」
ウンウンと頷く女性読者の方、いるかもしれません。
いや、そんなことない!と反論したい日本男児。
そうあってほしくないと思いながら確かにそうだなと思う僕。
どの家庭にも当てはまることではありませんが、これは海外からみた日本の印象になっています。
下のデータをみてください。
補足しますね。
これはOECD諸国+中国+インド+南アフリカ共和国の男女間での家事の時間を比較したもの。この記事が書かれたのは2019年5月とかなり最近。
データの出典はOECDと書かれていますが、いつのデータかまでは書かれてませんでした。ただ、公的なデータを使っているということからある程度の信憑性はあると思います。
縦軸に国名で、横軸は1日当たりに家事に従事する時間(分)を表します。黒丸⚫️は男性、赤丸🔴は女性の時間をそれぞれ意味しています。
要は、右に行けば行くほど家事をしている時間が長く、黒丸と赤丸の幅が狭いほど男女の家事分担ができていると言うことですね。
このグラフからわかること。
①スウェーデンは男女間での時間差が一番小さい
つまり、男性も女性も同じくらい家事をしている(女性の方が長いですが)。
②日本人男性は家事する時間が一番短い
男女間でもギャップが一番大きいわけではありませんが、言ってしまえば家事に消極的。
なぜスウェーデンはギャップが少ない?
ジェンダーギャップでは平等な国のモデルとして度々登場する北欧。中でもスウェーデンはズバ抜けていますね。
スウェーデン男性が家事に積極的な理由として育児休暇があると思います。世界的にみても異例なスウェーデンの育児休暇。
480
どうもこの数字が重要みたい。これは子どもが生まれてからその両親に与えられる育児休暇の日数。2人で480日(16ヶ月)を分けましょうということです。
この480日の育児休暇のうち、390日間は通常の給与の80%が保証されています。
これってかなりすごいですよね。言ってしまえば、働いていないのにお金がもらえるんです。子どもを産む年齢での給与を考えるとこれってかなりな高額(ただし、MaxでSEK 37,083=44.5万円 *SEK 1=12円で計算)。
残りの90日は一定額もらえます(1日 SEK 180=2000円と少し)。
そしてもう1つ大切なのが、90日間は必ず取らなければいけない。つまり、どちらか一方が480日フルで育児休暇を使うことはできないんです。男性も90日(3ヶ月)は必ず取得しなきゃいけない。
この他にも480日を超えてから、労働時間を25%まで短縮できる権利も持っています(この場合は給与は支給されません)。
こうした法制がしっかり整っているからこそ、スウェーデン人男性は家事に対して積極的なんですね。平日の昼間、街を歩いているとベビーカーを押す男性は日常の一部となっています。
男女平等を実現する国民性を影で後押ししているのがスウェーデンの社会保障。そしてこれを実現できているのが社会保障の支柱となる税制。全ての歯車がカチッとハマってようやく歯が回っているみたいです。
最近は共働きがふつうな時代。
一億人総活躍社会を目指している日本。
うーん、その道はなかなか厳しそうです。
参考:
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数