以前の記事でスウェーデンが世界に誇る発明10選をご紹介しました。意外にもいつも使っているものがスウェーデンと関わりがあったりするんです。気になる方はコチラからどうぞ!
そんな発明大国なスウェーデンですが、お隣のノルウェーにも多くの発明品があるんです。今回はそんな中から厳選して5つをご紹介します!
スプレー
まず最初は、スプレー。殺虫剤などで使うことの多いスプレー缶。実はこれはノルウェーで発明されたものなんです。ノルウェーの化学技術者であったエリック・ロトハイム(Erik Rotheim)により発明されました。1927年に特許を獲得して、様々な用途で使用されています。近年ではスプレー缶は環境汚染に繋がると懸念されているようで、今後の動向が気になります。
チーズスライサー
意外にも乳製品で有名なノルウェーで、チーズの消費量も世界でも上位。そんなノルウェーから生まれたのが「チーズスライサー」です。ノルウェーの発明家であり、実業家であったソー・ビョークルン(Thor Bjørklund)によって1925年に発明されました。当時はナイフでチーズを切り分けていたのですが、そのやりにくさに不満を感じて開発に至ったそう。今では北欧の家庭には欠かせない存在になっています。ビョークルンが立ち上げたブランドBJØRKLUNDもあります。詳しくはコチラからどうぞ。
クリップ
日本でも使われることの多い。クリップ。書類を束ねたりするときに便利ですよね。一説によると、このクリップはヨハン・バーラー(Johan Vaaler)によって1899年に発明されました。1899年にドイツで特許をとり、1901年にはアメリカでも特許を取得しました。
ただ、これには大きな誤解があるようで、実は最初にクリップの特許を取得したのはアメリカのサムエル・ファイ(Samuel B. Fay)です。ヨハン・バーラーが取得するよりも早い1867年にアメリカで取得しました。これはGem paperclipとして知られていて、スウェーデン語でクリップを意味するgemはこれに由来しています。現在使われているクリップのほとんどがこのタイプを採用しているようで、クリップはノルウェーの発明品だという話は実は神話となっているのです。
※今回はそういった誤解を解くためにあえて発明品としてリストに入れました。
スキー
北欧が誇るウィンタースポーツといえばスキーですよね。冬季オリンピックでメダルを総ナメすることも珍しくない北欧諸国。このスキーの起源については諸説あり、それは中国に起源をもつという説やロシアに端を発した、という説もあります。それでも「スキー」という現代スポーツを確立させたのはノルウェーでした。1868年にソンドレ・ノルハイム(Sondre Norheim)が公の場で披露したことがきっかけとなり、一気に広まりました。彼はノルウェー南部の街テレマーク(Telemark)で育ち、この街は*テレマークスキーの由来にもなっています。
※テレマークスキーとは現代スキー(クロスカントリースキーなど)の原型になったスタイル
サーモン寿司
最後は日本人にも馴染み深いサーモンのお寿司です。以前Norrでも記事になっているので、詳しくはコチラからどうぞ。現在日本で大人気のサーモン寿司ですが、実はノルウェーのおかげで日本に広まったんです。その歴史は浅く1992年ごろから日本で受け入れら初めて、1995年ごろから食卓でも食べられるようになりました。ノルウェーのサーモンが日本にやってくるまでに実に15年の歳月を費やしたそう。今や日本の寿司業界の主役とも言えるサーモンのお寿司はノルウェーの発明品とも言えそうです。
お隣の発明大国スウェーデンには少し劣るものの、ノルウェーにも世界に誇れる偉大な発明が色々ありました。発明品に着目すると、それが発明された国柄や文化的背景がわかりますね。チーズスライサーやスキー、サーモンなんかはその良い例です。
参考:
ノルウェーの発明について:
クリップの発明について:
スキーの発祥について:
https://www.skiinghistory.org/history/short-history-skis-0
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数