(*The eye-catch image above is borrowed from Daniel Herzell/Folio/imagebank.sweden.se)
スウェーデンの国民的料理として知られるミートボール。濃厚なクリームソースとホクホしたポテトの相性がたまりませんよね。あま〜いリンゴンベリーも良いアクセントになって何個でも食べられちゃいます。
かの有名なIKEAのカフェの定番メニューとなっているので、食べたことのある方も多いのではないでしょうか?そんなスウェーデン料理の象徴とも言えるミートボール。
しかしながら、実はミートボールはスウェーデン料理ではなかったということをご存知ですか?噂ではなくて、スウェーデンの政府機関も公で認めた事実だったんです。
今日はそんなミートボールの起源について見ていきましょう!!
ミートボールはトルコ料理だった
早速ですが、ミートボールはトルコに起源をもつ料理です。
これまでスウェーデン料理とされてきたミートボールはかつてのスウェーデン国王がトルコから持ち帰ったレシピに基づいているそうなんです。
冒頭の通り、スウェーデン政府機関が公に発表して世界を騒がせました。Twitterでの発言がこちら。
スウェーデンのミートボールは、実はチャールズ12世が18世紀初期にトルコから持ち帰ったレシピに基づいています。事実に忠実にならなきゃね!
Swedish meatballs are actually based on a recipe King Charles XII brought home from Turkey in the early 18th century. Let’s stick to the facts!(Sweden.seのツイート(上記)より)
このツイートに対してこんなツイートも話題になりました。
これまでの人生が嘘になる
My whole life has been a lie.
ミートボールがどれほどスウェーデン人の生活に馴染んでいたかがわかりますね。日本でいう「実は『寿司』は日本食じゃなかった!」というのと同じくらい衝撃的なニュースなのかもしれません。
どうやってスウェーデンに広まったの?
時は遡って18世紀初頭。当時のスウェーデン国王であったチャールズ12世は、1709年の大北方戦争でロシアに敗北を喫しました。その後、彼と残ったスウェーデン軍はオスマン帝国(現在のトルコ)の一部に亡命しました。
この滞在期間中にミートボールと出会い、そのままスウェーデンに持ち帰ったそうです。チャールズ12世はミートボール以外にも、コーヒー豆とロールキャベツも持ち帰ったとされています。
スウェーデンの食文化のシンボルともいえる、コーヒーとミートボール。実はトルコと深い関係があったんですね。
トルコとスウェーデンのミートボールの違いはあるの?
インドに起源をもつカレーが形を変えて日本で楽しまれているのと同じように、ミートボールもトルコとスウェーデンで異なるようです。
ニューヨークタイムズ社の記事によると、本家トルコのミートボールでは、挽いた牛肉と羊肉、玉ねぎ、卵、パンくず、パセリを使って作られている。一方、スウェーデンのミートボールは牛肉に加えて、豚肉も入っており、肉汁も使われているそう。
食文化は国を跨いだときに、その国の文化に合わせて自然と溶け込むように、姿・形を変えて伝わるもの。そう考えると、今や国際食とも言える日本の「Sushi」もそれぞれの国の文化に合う形で広まっていると捉えることもできます。
それぞれの楽しみ方があるので、一概に海外の「Sushi」の批判はできないかもしれません。事実、ナポリタンはイタリアのパスタ文化に紐づいて日本化した料理ですよね。そうした違いをも楽しめるようになると、一層「食」を通した異文化理解が深まるかもしれません。
参考:
The Gurdian「’My whole life has been a lie’: Sweden admits meatballs are Turkish」
CNN「Abbasolute scandal: Swedish meatballs are really Turkish」
https://edition.cnn.com/2018/05/03/europe/swedish-meatballs-turkey-intl/index.html
The New York Times「Swedish Meatballs Are Turkish? ‘My Whole Life Has Been a Lie’」
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数