「グリーンランドは世界最大の島」
なんてことを耳にしたことがあるかもしれません。
「グリーンランドはデンマークの自治領」
こんなことも聞いたことあるかもしれません。
でも、それだけで結局グリーンランドがなんなのか、あんまりよくわかってない。だから、この記事を書きました。
グリーンランドは国ではないけど、どんな存在なのか?デンマークとどんな関係性にあるのか?
こんな視点からグリーンランドを考えてみたいと思います。
これがグリーンランドの国旗(国ではないので正式に国旗ではないですが)です。グリーンランドの80%を覆う氷河から朝日が昇ってくる姿を表しています。デンマークの国旗が紅白柄であることも1つの理由になっているようです。
グリーンランドって?
基本情報ポンポンポンといきますね。
グリーンランドは人口56,000人のデンマーク領の島です。首都をヌーク(Nuuk:南端部)に置いていて、人々はグリーンランドの20%を占める土地で暮らしています。ヌークには18,000人(32%)ほどが集中してます。
デンマークから半ば独立した自治政府を持ちます。北大西洋に位置していて、デンマークからは3500kmも離れています。
面積は217万㎢。これはサウジアラビア(世界第12位)より少し大きいです。多分サウジアラビアの面積を言われてもピンとこないと思うので、日本と比較。日本の面積が38万㎢なので、6倍近く大きいことになります。とはいっても、8割は氷河です。
デンマークの一部とされているグリーンランドですが、自治権はグリーンランドが持っているためデンマークの面積には換算されません(原則、統治権が及んでいる地域まで面積に含まれる)。
言語はグリーンランド語。
ただ、公的な文書などはデンマーク語で書かれるようです。通貨はデンマーク・クローネ(DKK)が採用されています。ナショナルデーは6月21日。これが何を意味するかというと、夏至の時期です。
つまり、冬季には太陽が昇らない時期があるグリーンランドは、一年で一番明るく日照時間が長い日をナショナルデーに定めたんです。
公式サイトによると、5月25日〜7月25日は白夜とされていて、一日中太陽が昇っています。明るい夜ってやつですね。
デンマークとの関係は?
再三ですが、グリーンランドは自治権を持っています。もともとデンマークの植民地下にあり、1979年まで続きました。そして、2009年に自治権を獲得し、独自の政治と文化を保持しています。ただ、独立した国ではなく、外交・防衛・安全保障に関してはデンマークの直轄下にあるんです。
いつからグリーンランドなの?
遡って4000〜5000年前。北アメリカの先住民がカナダ経由でグリーンランドにやってきました。これが最初の人々とされています。当時は温暖であったため入植が繰り返されて、その最後が982年のイヌイットの移住です。
グリーンランドの名からも想像できるように当時は農耕も盛んに行われていました。が、これは14〜15世紀になると住人たちは去って行ってしまいました。これに関して明確な原因がわかっているわけではないそうですが、寒冷化が大きな原因のよう。
当時の住人の生活の跡がいまだに残っていて、これ見たさにグリーンランドに行く人もいます。
16〜17世紀になるとノルウェーやイギリスからグリーンランドを訪れる人が増えました。17〜18世紀にはヨーロッパの捕鯨者がやってきました。彼らが当時残っていたイヌイットと接触して、それが交易を結ぶに至ったんですね。
そして、1721年にはデンマークとノルウェーの同君連合の使節団がやってきました。ここから植民地支配が始まって、1979年まで続きました。前述の通り、2009年には自治権を獲得して今に至ります。
歴史的に漁業が盛んであったグリーンランドは今となっては徐々に縮小しつつあります。変わって、採掘への関心が高まっていて、金・鉱物・天然ガス・ダイアモンド・鉛・亜鉛などです。採掘に当たって外国投資を期待しているとか。観光業も盛んですね。
今のグリーンランド
温暖化の影響から変動する氷河目的やザトウクジラ・ホッキョクグマ・トナカイ・海鷲・ジャコウウシ・セイウチなどを目的とした宿泊での観光客が増え、宿泊者は2000年比+50%、日帰りのクルーズ客は同年比+150%にまでなっているようです。
温暖化の影響で観光業が潤うという矛盾が起きていますが、今度の自然保護に向けた施策はどうなるのでしょうか。
デンマークからの独立の気運もあるとか。近い将来世界で12番目に大きい国が新しくできるかも?
参考:
https://www.norden.org/en/information/facts-about-greenland
https://denmark.dk/people-and-culture/greenland
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数