アイスランドと聞くとなんだか寒そうな響きがありますよね。それもそのはず、「氷の国」と言う意味になるので。
首都のレイキャビクは世界最北端の首都なんです。国名も首都の肩書きもすごく寒そうですよね。
一方で近くにあるグリーンランド。
世界最大の島。
デンマークの自治領です。
「緑の地」ですね。
アイスランドに反してあったかそう。でも、グリーンランドの方が北に位置するので寒いんです。アイスランドの国土のうち、約10%ほどが氷河で覆われていると言われています。
グリーンランドは80%以上が氷河で覆われています。
ん?これって逆じゃない?
そう思いますよね。
氷河が少ない「アイスランド」は本来なら「グリーンランド」
氷河が多い「グリーンランド」は「アイスランド」であるべき。
この疑問の答えについてどこかで耳にしたことがあります。
“自然豊かなアイスランドに入植した人は他の人も入植しに来ないように、あえてアイスランドと命名。アイスランドより寒いグリーンランドに人を流すためにあえて「グリーン」と名付けた。”
なんだか最もらしい説明です。
ただし!
当時の自然環境などを鑑みると、必ずしもそうとは言えなさそう。
アイスランドが「氷の国」なわけ
まず、前提としてアイスランドを名付けたヴァイキングは見たものをそのまま名前にしたそう。だからアイスランドは「氷の国」だったんです。
ナッダドール(初めてアイスランドに辿り着いたスカンジナヴィアの探検家)がアイスランドに辿り着いた時は雪が降っていたそうです。そこから「雪の国」と命名されました。
ナッダドールに続いてアイスランドに辿り着いたスウェーデン人ヴァイキング、ガルザル・スババルソンは、彼がいた地であるから「ガルザルの島」と名付けました。
その次に来たのはフローキと言う人です。この人はアイスランドへの運がなかったのか、島へ向かう途中で彼の娘が溺死してしまい、さらには冬の到来によって作物はなくなり、家畜も絶えました。
そんな最中、フローキが山に登るとそこから氷で覆われたフィヨルドを発見し、それが現在の「アイスランド」の由来になっているとされています。
現在では暖流の影響でその氷河が国土の10%ほどを占めてます。
グリーンランドが「緑の地」なわけ
グリーンランドに辿り着いた赤毛のエイリック。西暦982年のこと。当時、放羊やジャガイモの栽培がされていたそう。凍てつくような寒さではなかったということ。
今の気温と比べて当時はかなり温暖であったんです。
その後、14世紀までに寒冷な気候に変化し、氷河が増えていったんです。寒冷化することは作物が取れなくなり生活しにくくことを意味します。そんな地を当時の住民は立ち去ってしまいました。
そこで、こうした流れを受けて多くの人を誘致するためにつけられたのが、
グリーンランド!
と言うわけなんです。一種の戦略的なネーミングだったんですね。だから今となっては矛盾したような名前に聞こえます。現在人々はグリーンランドの土地の氷河でない部分で暮らしています。
温暖化の影響で、、
命名当時よりも温暖な気候であったこと、当時の自然環境の状況に由来していることを確認しました。それでは近年話題になっている地球温暖化の影響でどうなるのか?
急速なスピードでグリーンランドの氷河が溶けていると言われていますが、これが続けば、かつてのようにまさにグリーンな土地となるのか。海水が増えるにつれて暖流の速度が遅くなり、アイスランドはますます寒くなります。
グリーンランドはまさにグリーンランドになるのか?
アイスランドも真の「氷の国」となるのか。。
参考:
https://www.iceland.is/the-big-picture/nature-environment
https://news.nationalgeographic.com/2016/06/iceland-greenland-name-swap/
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数