「非日常の空間で日本人の幸福度を上げたい」
Norr取材企画待望の第一弾です。
初回は秋葉原にあるKIELO COFFEE(キエロコーヒー)さんに色々とお話を聞いてきました。
Kieloとはスズランを意味するフィンランド語。そしてスズランはフィンランドの国花として知られていて、花言葉は「再び幸せが訪れる」。お客さんが幸せを感じられる空間を、そんな想いから始まったKIELO COFFEE。
北欧、コーヒーに対する熱い想いをたくさん聞けたので最後までお楽しみください。
まずはKIELO COFFEEさんのオーナー吉池さんのご紹介から。
[経歴]
大学卒業後ブライダル会社へ就職。
2年弱の勤務を経て、2018年末を持って退職。
2019年5月7日にKIELO COFFEE開業。
KIELO COFFEEさんについて色々とお聞きしたいのですが、まず創業動機についてお聞かせください。
はい、創業動機の前にもともと起業したいという想いはずっとあったんですよね。父親が経営者だったので、小さい頃から起業が身近だったんです。
なるほど、経営されているお父さんの背中を見て育ったわけですね。
そうなんです。いつかは起業したいと思ってました。
それでKIELO COFFEEの創業動機についてですが大きく2つあります。
1つめはコーヒーとの出会いです。大学生の時にスターバックスでアルバイトをしてました。社内資格の「ブラックエプロン」を取得したり、時間帯責任者まで任されるようになって、コーヒーについて知識を深めたり、コーヒーを通して人と関わることの楽しさを学んだんです。
ブラックエプロンまで持っていたなんてよっぽどのコーヒー好きなんですね。
始めたてのころはコーヒー苦手だったんですけどね。
2つめはフィンランドへの卒業旅行です。大学4年生でよくある卒業旅行でフィンランドに2週間くらいホームステイしてました。そこで、北欧の生活の豊かさであったり、デザイン性の高さとかにすごくインスパイヤーされたんです。それで、純粋にこういう文化を日本にも持ってきたい!って思ったんです。コーヒーを何杯も飲むこともこのとき知りました。
さっきもお伝えしたようにもともと起業したいと思っていたので、この2つを合わせて北欧スタイルのコーヒースタンドを作ろうって思ったんです。
吉池さんの経験が繋がって「コーヒー×北欧」のKIELO COFFEEに行き着いたわけですね。
フィンランドへの旅行が動機の1つでしたが、なぜ北欧を選んだんですか?北欧ってやっぱり学生にとっては物価が高かったりして旅行先になりにくいかなと思ったんですけど。
そうですよね(笑)北欧行くまではあまり知識もなかったんですが、純粋にまだ日本人が行ってない地域に行ってなかなかできないような経験をしたいと思ったんです。そこでオーロラを見に行こうって思って、北欧にしました。2週間の滞在期間のうち、ヘルシンキとロヴァニエミに行きました。結局オーロラは見れなかったんですけどね(笑)
でもその分北欧の良い所をたくさん見れて大満足でした。
オーロラって行けば必ず見れるわけではないですもんね。
北欧の良さ、豊かさが先ほどから出てきましたが、ズバリどんなことだと考えていますか?
そうですね、なかなか言語化するのは難しいですが、1つには「心に余裕がある」ことですかね。
具体例をあげるなら、旅行中駅の乗り換えでわからなくなった時、どこに行けばいいか現地の人に聞いたんです。そしたら教えてくれるだけじゃなくて「時間があるから一緒に連れて行ってあげるよ!」って優しく案内してくれたり、あとはどんな時でも歩行者優先の意識が強かったり。心にゆとりがあるからこそそういう優しさがあって、他者との距離が近いんだなって思いました。
なるほど。東京にいるとどこかせかせか暮らしている人が多いように見えてしまいますよね。
そうそう。KIELO COFFEEはオフィス街にあるんですけど、朝のビジネスマンなんかすごいですよ。これから仕事しにいくんかい!っていうくらいなんか暗く見えちゃいます。
そうですよね。日本の労働時間は世界で見ると長いってよく言われますよね。
だからこそ、このKIELO COFFEEで北欧の非日常の空間を作って日本人の生活に彩りを与えたいって思ったんです。
北欧風の空間を体感してもらうということですね。素晴らしいです!
ところで秋葉原を選んだのには何か理由があったんですか?
はい、秋葉原を選んだのは2つ理由があります。
1つはビジネス街であること。これはマストでした。日本のビジネスマンにもゆとりを持った生活をしてほしいと思っていたので、この条件は欠かせませんでした。
2つめには秋葉原はまだコーヒー文化が未成熟だと思ったからです。チェーンのカフェはいくつかありますが、KIELO COFFEEみたいなコーヒースタンドは少ないんです。
観光客の人も多く来るので秋葉原は勝手の良い場所だなって思ってます。
確かに、おしゃれなカフェは港区とか千代田区にあるイメージありますよね。
KIELO COFFEEさんのこの内装はまだ日本には見慣れないようなデザインだと思うんですが、内装でこだわったところはありますか?
内装のデザインでこだわったのは4つです。
まず、白い壁です。膨張色の白を使うことで広く感じられると思いました。シンプルさは北欧のデザインで欠かせない要素だと思ったんです。
2つめは北欧家具です。これには特にこだわってartek(アルテック)さんのチェア66とFritz Hansen(フリッツハンセン)さんのドロップチェアを使ってます。
artekさんはフィンランドでは欠かせないインテリアブランドですし、Fritz Hansenさんもデンマークのブランドとして世界的に有名ですよね。特にこのドロップチェアは日本ではなかなか見ない奇抜なデザインが目を引きつけそうです。
実際にお客さんから「家具屋かと思った」って言われたこともあります(笑)良いのか悪いのか。
3つめのこだわりポイントは間接照明です。実は店内に4箇所間接照明を忍ばせてます。この照明でより温かみのある空間になったと思います!
4つめはヘリンボーンの壁です。シンプルな白い壁だけだと逆に簡素に見えてしまうと思ったので、アクセントとしてヘリンボーンを採用しました。
北欧らしさが要所要所に散りばめられていますね。
それではKIELO COFFEEさんのコーヒーのこだわりはどんなところにありますか?
はい、これは間違いなく北欧ならではの浅煎りのスッキリした味わいです。たぶん多くの人は「コーヒー=苦い飲み物」というイメージがあるんですけど、KIELO COFFEEのコーヒーは苦味があまりないです。ノルディックローストと言われる焙煎方法なんですけど、本来のコーヒーの果実味を生かしてるんですよね。
だから女性にも人気ですよ。コーヒーが苦手な人にぜひ飲んでほしいです。
浅煎りのコーヒーって本当に飲みやすいですよね。紅茶かと思うくらい透き通ってますよね。
2019年5月7日にオープンしたということですが、今後のヴィジョンはどんなふうに考えてますか?
まだまだ店舗の地盤が安定してないのですが、店舗営業の他に出張サービスも行っています。近隣に住まいの方や企業様向けにポットをお届けするサービスです。
これからやっていきたいこととしては、営業時間後のカフェの貸し出しであったり、アーティストさんとのコラボレーションもしたいなと思ってます。あとは現状ドリンクしか置いてないので、フードも充実させたいです。
もちろん店舗展開も考えてまして、来年中にロースターという形で2号店をオープンしたいです。
今後の拡大が楽しみですね!
最後になりますが、カフェの経営と少し離れて開業について伺いたいと思います。最近色んな分野で起業する人が増えていると思いますが、吉池さんの場合はまだ24歳ですよね。起業する人の中では若い方かなと思ったのですが、早く起業したのには理由があったりしたんですか?
そうですね。結論から言うと、いま動かない理由がなかったんです。冒頭でもお伝えしましたが、起業したいという想いはずっとありました。会社をやめるタイミングも色々とありましたが、当初は会社員を辞めたあと、留学して、英語の勉強して、コーヒーの知識も深めて、とか色々考えていたんです。
でもそれって単に「知識がないから」「人脈がないから」とかで、できない理由で自分を正当化しようとしてたんです。でもいま自分の周りにいる人と10年後に付き合ってる人を比べたらあんまり変わらないかなって。いま周りにいる人も5年後、10年後どうなってるかわからないわけですし。
お金にしても、今も10年後も必要な額は同じです。自分で時間をかけて貯めなくても、ちゃんと事業計画を練って銀行とか自治体に融資をお願いすればちゃんと借りれました。エスプレッソマシンを導入するのにもクラウドファウンディングをやってかなりの額が集まりました。クラファンで支援してくださった方々には本当に感謝してます。
あと2018年末に退職してから本格的に動き出してだいたい2ヶ月で開業できたんですけど、たぶんこれってめちゃめちゃスピーディーだと思います。でもあの時直面していた「動けない理由」を一つ一つ潰していったら僕にだって経営できるんだって今になって思いますね。
立ち上げの時にこのスピード感は特に大切にしてたんですけど、いまも出来ることは出来るうちにやる!これは徹底してます。
(じーん)
そうですよね。夢を持つ人はたくさんいますが、諦めてしまう理由は自分に何かが足りないからであることは多いですね。そういう時こそ自分の中で完結させるのではなくて、周りを頼ることが大切ですよね。
KIELO COFFEEさんについてだけでなく、吉池さんの起業哲学まで垣間見れました。貴重なお時間ありがとうございました。今後ともご活躍期待してます!
「見方を変えれば必ず解決策が見えるはず」
コーヒーに対する想い、北欧に対する想い、そして起業に対する想いを熱く語ってくれた吉池さん。その真摯な目はどこまでも真っ直ぐでした。
秋葉原のオフィス街に燦然と構えるKIELO COFFEE。
その異色な店構えは道行く人を惹きつけるはず。まだまだ日本には馴染みのない北欧の空間は今後普く広まっていくことでしょう。そしてたくさんの日本人に幸せを咲かせる空間になることを願っています。
KIELO COFFEEさん改めましてありがとうございました!!
[KIELO COFFEEさん詳細] *取材時の情報です
●営業時間:
平日 8:00-19:00
土曜日 10:00-18:00
日曜日 10:00-18:00
●住所:
〒110-0016 東京都台東区台東1-29-4 第一共和ビル1F
●SNS情報:
Instagram: @kielocoffee
https://www.instagram.com/kielocoffee/?hl=ja
Facebook: KIELO Coffee
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数