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スウェーデン / Sweden 北欧留学大使

[北欧留学大使 #12] 田平修さん:スウェーデン・リンネ大学(研究留学)

POST 4

※2020年11月26日の情報です
※実際の投稿はコチラ


【研究のハナシ】

Hej✋🇸🇪
スウェディッシュヌードラーです。

今回は、研究のハナシと題して、移民と教育という観点から、スウェーデン社会と私の研究を絡めながらご紹介します。
移民や教育への関心からスウェーデンに留学をしたい方へのちょっとしたアイデアになればいいなと思います。

私は、「スウェーデンに暮らす、移民の背景を持つ若者ムスリム(イスラーム教徒)のアイデンティティ」を大テーマに研究しています。研究の主軸は、学校教育にありますが、同時に地域社会や家庭環境などのインパクトについても焦点を置いています。

スウェーデンは、ここ十数年で人口がおよそ100万人増加しています。その背景には、外国を背景に持つ人口の増加が考えられます。スウェーデン中央統計局によると、2019年末時点の外国生まれ人口は、全人口の19.6%を占めています。親の片方が外国生まれ、もう片方がスウェーデン生まれの人口は7.55%、自身はスウェーデン生まれだが外国生まれの両親を持つ人口は5.96%です。
つまり、人口の3割以上は、何かしら外国を背景に持っているいうことです。
特に、ムスリム人口の多い国からの移民、難民はインパクトが大きく、外国生まれ人口の出身国トップ2は、シリアとイラクです。

多様性は食にも!
ケバブ屋も多く大人気。


メキシコ出身のタコスも、いまや国民食🌮


人口の増加は、住宅不足の要因にもなっていて、スウェーデンでは住むところを探すのがとても大変です。そのため、日々建築ラッシュです。順番待ちのポイントシステムさえあります。
もちろん交換留学生や正規留学生には、基本的に寮などが優先的に割り当てられることも多いですが、現地学生には又貸し又借りを繰り返している人もいます。

さて、実際に街を歩くと、いわゆる「金髪に青い目をした白人」ばかりではありません。頭にヒジャーブを巻いたソマリア系女性や、髭を生やしたダークヘアのアラブ系男性を目にすることは、もはや日常です。

ラマダーン(断食)明けのお祝いイード。


そんな環境でムスリム系の若者は、「スウェーデン人」との違いを感じることもあります。決して単純化して議論することはできませんが、キリスト教を基盤に発展してきた同質性の比較的高いスウェーデン社会で、「異なる」文化や宗教を持つ「彼ら」は、文字通り「彼ら」というレッテルを貼られがちです。

そんな時、自分自身をどう捉え、どう認め、どう感じるのか、そのアイデンティティの問題は非常に繊細です。

ムスリムとしてのアイデンティティを肯定的に捉えることを一つの理念とした小学校があります。私のフィールドワーク先です。

卒業式


「イスラーム」という点から、負かつ懐疑的な目で見られることも多いですが、公費の補助を得た私立学校といった具合で、スウェーデンのナショナルカリキュラム、教育法規に従う必要があり、教育内容は、いわゆる一般の公立学校と全く変わりません。違うのは、クルアーンやイスラーム教などの科目を実施できるという点です。

多様性を増すスウェーデン社会で、このような学校が持つ機能や役割はきっとあって、彼らのアイデンティティを支えるベースにもなり得ます。決して、「スウェーデン人」が考える負の側面ばかりではないと考えます。


、、、と、そんなことを日々考えながらスウェーデンで留学生活を送っています。

糖分が必要なときのスウェディッシュ甘いものたち。


スウェーデンを含め、北欧は理想郷、国としてのモデルのように扱われがちです。もちろん私自身もスウェーデンが大大大好きで、日本人として学べるところもたくさんあります。同時に、文化や宗教の対立を垣間見ることも多く、スウェーデンの「冷たさ」に心を痛めることもあります。

留学という観点からは、ホットなトピックをホットな現場で学ぶ環境があります。
移民や教育に関心がある人も多いと聞くので、この【研究のハナシ】を1つの参考に、ぜひスウェーデンを留学先として選んで、自分の目で確かめ、考えてみてください!

次回は、交換留学、修士学位留学、研究留学の経験をもとに【留学のいろは】をお伝えします。

それではまた!Hej då👋🇸🇪


💡今日のスウェーデン語ひとくちメモ
‘Blyga pojkar får inte kyssa vackra flickor.’
=くよくよしてないで勇気出しなよ!
(直訳: シャイボーイは美女にキスできない。)
(※からかいにも励ましにも使えるようです。)


▫️今週の大使: @t.shu0123

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※当記事は、北欧情報…
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