皆さん、ヴァーサロペットをご存知ですか?
ヴァーサロペットはスウェーデンの伝統的なクロスカントリースキーレースで、スウェーデンでは毎年テレビで生中継されるほど注目度の高い一大イベントです。現在のスウェーデン国王も過去3度出場したことがあるなど、歴史があり非常に名誉な大会として知られています。
*ちなみにクロスカントリーとは
スキーを履いて雪原を駆け、その所要時間を競うレースです。
日本ではメジャーではないですが、欧州やカナダでは非常に人気のスポーツで、
特に北欧では子供からお年寄りまで幅広い世代で日常的に楽しむスポーツとして定着しています。
斜面を下るアルペンとは違い、平地を走ったり、急斜面をスキーで登ったりなど、
持久力が必要な競技です。
ヴァーサロペット
ヴァーサロペットは、スウェーデンで年に一度、3月の第一日曜に開催される全長約90kmのクロスカントリースキーレースで、その歴史が1520年まで遡ることから世界最古のスキーレースとも言われています。1922年より正式なレースとして始まり、参加するスキーヤーは、毎年約16000人とクロスカントリースキーレースでは世界最大級の規模を誇るレースとして有名であり、2020年大会で96回目を迎えるスウェーデンの一大イベントです。
ヴァーサロペットの起源 ~スウェーデンの独立に欠かせないストーリー~
1520年、スウェーデンはデンマークの統治下にあり、デンマーク国王クリスチャン2世の圧政に悩まされていました。そこで、後の初代スウェーデン国王グスタフ・ヴァーサは、民衆をはじめ、タフで勇敢として有名なムーラの民などへ決起を呼びかけます。
しかし、皆戦いへの恐怖などを理由に協力的ではありませんでした。
失望したグスタフは、クリスチャン2世の追手が迫っていたため、
説得に訪れていたモーラから仕方なくスキーでノルウェーへ旅立ちます。
ところが、彼が出発してすぐ、ムーラの民のもとに「ストックホルムの血浴」の知らせが届きます。
(クリスチャン2世によりスウェーデンの有力者が大量虐殺された事件)
やはりグスタフに協力しようと決心したムーラの人々は、
彼を呼び戻すべく、スキーが得意な若者二人にグスタフの後を追いかけさせ、約90km離れたセーレンという場所でグスタフに追いつきました。
二人から事情を聞いたグスタフは戻って戦う決心をし、2年半の戦いの末、スウェーデンは独立を手にし、グスタフは初代スウェーデン国王になったのです。
このエピソードがヴァーサロペットの起源になっており、
レースコースもそれにちなんでセーレンからムーラまでの全長約90kmになっています。
レースの起源になっているこのストーリーがなければ、スウェーデンが当時独立まで至らなかったかもしれないと考えると、改めてこのレースの歴史の深さを感じさせられます。
ご紹介したように、今もなおヴァーサロペットは名誉あるレースとして受け継がれており、スウェーデンのみならず中国、米国、日本でも毎年開催されています。ヴァーサロペットジャパンは北海道の旭川で毎年開催されているので、ご興味ある方はぜひ挑戦してみてください。
異文化を体験する方法は様々ですが、スポーツを通してスウェーデンの文化に触れてみるのも良いかもしれません。
参考: ヴァーサロペット公式HP
https://www.vasaloppet.se/en/
Visit Dalarna, Vasaloppet
https://www.visitdalarna.se/en/vasaloppet
ヴァーサロペット公式インスタグラム
https://www.instagram.com/vasaloppet/
スウェーデンで約一年間過ごした後、’’日本にはない価値観を届けよう’’と、RenとNorrを開設。
世界最北端の都市を訪れたり、北極圏でトレッキングしたりと冒険が生き甲斐。