スウェーデンに行ったことのある方なら一度は見かけたことがあるであろうケバブのお店。これはスウェーデンへの移民・難民の影響と考えられます。
事実、ライターが留学していたスウェーデンの学生都市ルンドには、たくさんのケバブレストランがありました。「角を曲がればケバブ」そんな感じです。
一方で、世界中で楽しまれているイタリア料理。ピザやパスタはどこの国に行っても食べられるといっても過言ではないくらい広まっている食べ物ですよね。
このピザとケバブの掛け合わせ、その名も「ケバブピッツァ」というのがあるのを知っていますか?ピザ生地に目一杯お肉を敷き詰めて焼いて、トッピングにはサワークリームやヨーグルトのソースをかけて食べる。お好みでフェッフェローニ(酢漬けにしたチリ)も合わせる人もいます。期待を裏切らないヘビーなファストフードです。
ケバブピザの起源
ケバブピザは前述の通り、トルコ料理のケバブとイタリア料理のピザを合わせた食べ物です。この起源についてみていきましょう。
そもそも、最初のピッツェリアがスウェーデンにオープンしたのは1947年のこと。第二次世界大戦終結後、少し経ってからですね。300人のイタリア人労働者がスウェーデン中部へやってきたことが始まりです。
ちなみに、このヨーロッパの戦後復興期(1940〜1979年)は、スウェーデンにおいて移民受け入れの最初の波が訪れた時期とリンクしています。この時期は、特に地中海・バルカン諸国からの移民がたくさんスウェーデンへ押し寄せました(詳しくは下のリンクから)。1960年代にはピザはスウェーデンで最も人気のファストフードであったそう。
一方、ケバブはと言うと最初にスウェーデンにやってきたのは1980年代。サワークリームやヨーグルトのトッピングとともに楽しまれていました。
このピザとケバブの相性の良さから、ケバブピザが誕生したということになります。
ケバブピザはスウェーデンで生まれたとされています。それぞれの食文化を運んできたイタリアとトルコは地理的にそこまで遠くはない(少なくともスウェーデンよりは)にも関わらず、スウェーデンで生まれたのは偶然なのか、必然なのか。
毎年New Yearの時期にはたくさんのスウェーデン人がケバブピザを求めて押し寄せるそうです。一年で一番忙しい時期で、通常の2倍ほどの注文があるんだそう。
食文化は地理的要因や気候によって大きく影響されます。こうした切り口からその食文化が育まれた国の歴史についてみてみるのも面白いかもしれません。
今回の「スウェーデンへの移民」に関する記事はコチラに詳しくまとめてあります。合わせてどうぞ!
参考:
The Local「The kebab pizza is Sweden’s favourite」:
https://www.thelocal.se/20121229/45334
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数