北欧の国旗ってややこしい。十字架が使われていて、なんだか似ている。ノルウェー🇳🇴とアイスランド🇮🇸なんか色の配置が違うだけでほとんど同じ。
北欧について何も知らなかった頃を思い出すと、「なんてややこしい地域なんだ」って投げ出しそうになったのを思い出します。特に歴史や地理では場所まで覚えなきゃいけなくてなかなか大変でした。
北欧の国旗ってすごく洗練されているイメージがあるかもしれません。全ての国に共通してスカンジナヴィアンクロス(十字架)が使われていて並べてみるとなんだか統一感がある。
そんな兄弟のような北欧の国旗ですが、その色に込められた想いは国によって全く違うんです。今日はそれぞれの国が国旗に込めた想いを見ていきます。
※スカンジナヴィアンクロスは「キリスト教」の象徴です。
スウェーデン
青地に黄色の十字架で、金十字と呼ばれることも。青色と黄色が補色であることからもはっきりとした色合いが特徴的なスウェーデンの国旗。正式に採用されたのは意外にも遅く、1906年のこと。この青色と黄色の組み合わせはスウェーデンのかつての王室の紋章に由来しているとされています。
青色は「正義」「忠誠」「真実」を意味するとされ、黄色は「寛容」を意味するとされています。北欧の中でもリーダー気質のあるスウェーデンらしさが出てますね。
デンマーク
デンマークの国旗については以前の記事でも取り上げました。実はこの国旗、世界で一番古い国旗として知られています。スカンジナヴィアンクロスを採用する北欧諸国ですが、その始まりはデンマークにあったんです。詳しくはコチラから。
このデンマークの国旗の始まりは1219年とされていますが、正式に採用されたのは1625年です。白い十字部分は「平和」「誠実」を表していて、赤い部分は「勇気」「強さ」を表しているとされています。
フィンランド
北欧諸国の国旗でもとりわけ白さが際立つフィンランドの国旗。正式に採用されたのはロシアから独立した翌年1918年のこと。「森と湖の国」と称されることも多いフィンランド。そんな自然と共存した生活が国旗にも現れています。
まず、青い十字部分はフィンランドに数多くある「湖」と、透き通るような「空」を指しています。替わって白い部分は、真っ白にあしらわれた冬の「雪」景色を指しています。
まさに自然と共存する国ですね。そういうこともあって、環境意識が高い国として知られているフィンランド。そんなフィンランドの小さな街ラフティーが、2021年度の欧州の「緑の首都(European Green Capital Award)」に選ばれました。以前記事として取り上げた名誉ある賞です。コチラからどうぞ。
ノルウェー
スカンジナヴィアンクロスを2つ重ねたようなデザインが特徴的なノルウェーの国旗。正式に採用されたのは1821年です。ノルウェーの「赤」「青」「白」の色合いは、「自由」や「独立」を象徴とするアメリカ、フランス、イギリスの国旗を参考にしたとも言われています。
1821年といえば、当時ノルウェーはスウェーデンとの同君連合下に置かれていた時代です。その前はデンマークの同君連合下に置かれていました。こうした歴史的背景を如実に表しているとも言えそうです。屈辱的な歴史をもつノルウェーですが、国旗に込めた想いには北欧ならではの同胞意識が見られます。※ノルウェーの歴史についてはコチラから。
赤と白は、かつての「デンマークとの連合」の象徴であり、青はその後の「スウェーデンとの連合」の象徴のようです。同じスカンジナヴィアン半島の国として切っても切り離せない深い絆があるのかもしれません。
アイスランド
最後にアイスランドの国旗。ノルウェーと同じような色合いが特徴的ですね。この国旗が正式に採用されたのは1944年のこと。北欧諸国の中では一番新しい国旗ですね。もともと青地に白い十字の国旗が非公式で使われていたようです。
青地部分はアイスランドを取り囲む「海」や、空まで伸びるような青い「山」を表すそう。白い十字部分は大地を覆う白い「雪」を表します。そして、赤い十字は火山から噴き出る「炎」を表します。
さいごに
国旗の由来や背景については諸説ありますが、今回はその中でも代表的なものをご紹介しました。一見するとよく似ている北欧の国旗。しかし、そこに込められた思いを深堀りしていくと、それぞれの国の大切にしている価値観が見えてきました。
国旗はその国のシンボルとも言える大切な象徴。北欧の家庭では国旗を掲揚するのは一般的です。特に独立記念日などの特別な日にはよく見かけます。こうした国への誇りを大切にすることも小さな「北欧らしさ」なのかもしれません。
参考:
https://www.worldatlas.com/articles/what-do-the-colors-and-symbols-of-the-flag-of-norway-mean.html
文筆家、写真家、イラストレーター。学部時代のスウェーデン留学が大きな転機となり、北欧のウェルビーイングを身体で学ぶべく、ノルウェーとデンマークの大学院に進学。専門は社会保障、社会福祉、移民学。2021年6月両国にてダブルディグリーで修士号取得後、帰国。現在は、アニメーション業界に飛び込み、ストーリーテリングの観点から社会へ働きかけるべく活動を広げている。フリーランスとしても活動している。又、北欧情報メディアNorrから派生した「北欧留学大使」を主宰し、北欧留学支援もしている。
■これまでの活動歴:「令和未来会議2020”開国論”(NHK)パネリスト出演」、「デモクラシーフェスティバル2020(北欧5カ国大使館後援)イベント主催」、その他講演多数