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【第2章】コミュニケーションにみる『タテ』と『ヨコ』

社会という枠組みの中で生きていく以上、必ず他者との関わり合いが不可欠である。自分の考えや感情を他者へ伝え、理解してもらうという営みが、いわゆるコミュニケーションと呼ばれる行為だ。これは生来絶えず繰り返しやってきたことで、コミュニケーション能力とまで言われるくらいに重要視されているものである。

書店へ行けば、コミュニケーションに関する書籍が山積みになっているのを目にするだろう。他者との関わり合いの中で、必要不可欠であるコミュニケーションに関して悩む人も多いのではないだろうか。大学の講義でもコミュニケーション論として成立しているくらいだ。

第2章では、そんなコミュニケーションについて、日本と北欧にそれぞれみられるタテとヨコにスポットライトを当てる。コミュニケーションという行為、その能力は極めて主観的で、ある種の固定化された数値で表すことは容易ではない。

「Aさんとは気兼ねなく話せるんだけど、Bさんとはなかなか打ち解けられないんだよね」

そんなことを経験したことのある人は少なくないはずだ。

 

この章で明らかにしたいのは、どのようにしたらコミュニケーションを円滑にできるか、という方法論ではない。あくまでも日本と北欧にみるコミュニケーションの手段の違いについてである。かもすると、筆者が考える北欧でのヨコのコミュニケーションにその答えが隠れているのかもしれない。そんなことにも注目していただけたら幸いだ。

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日本にみるタテなコミュニケーション


 

新卒社員が抱えるコミュニケーションの壁


 

まずは、日本人のコミュニケーションに関する調査をみていきたい。ここでは、株式会社ジャストシステムが2019年4月に行った調査結果を取り上げる。以下は、新卒社員865人に対して行った調査のうち、「職場で戸惑っていること困っていること」に関する項目での回答数(743人)をグラフにしたものである。

 

上記サイトを元に筆者作成
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このグラフから、少なからず3割近くの新卒社員は「コミュニケーション」において苦手意識を感じていると考えられる。それまでの環境とは一変して、対人関係も大きく変わるので妥当な結果だと受け取れるだろう。加えて、男女別にみると、特に女性社員でコミュニケーションへの回答が目立ったようだ。一番多かった項目は男女とも、「覚える内容の多さ(それぞれ37.1%、36.6%)」であったが、女性社員に関してはそれに続いて「上司とのコミュニケーション(33.7%)」「先輩とのコミュニケーション(30.2%)」となった。

尚、この調査は2019年4月22日〜4月26日に行われたものであるから、上司や先輩社員との関係構築、信頼醸成に至っていない可能性があることを補足しておく。

又、会社員に留まらず、日本人全般としてコミュニケーションに苦手意識があることが他の調査から明らかになっている。株式会社JTBコミュニケーションデザインが2017年に2060人を対象に行った調査では、58%の人がコミュニケーションに苦手意識を感じているという結果が出た(この調査で対象となっているのは、全国の大学生、会社員、主婦、リタイア層である)。

国別のコミュニケーションを比較できる訳ではないが、日本にはコミュニケーションに対して苦手意識が多い傾向にあると筆者は考える。

これについては、歴史的な身分制や敬語などにみられる思想の名残がその要因だろう。次の節では具体的にどんなコミュニケーション手段にタテがみられるのかを考えていく。

 

飲みニケーションという造語


 

日本でみられるコミュニケーションの手段としてあげられるのが、「お酒」を介したものではないだろうか?社内での飲み会や、大学での部活動やサークル内での飲み会などが良い例だ。この「飲み会」とそこでの「コミュニケーション」を文字って、「飲みニケーション」というなんとも秀逸な造語が普く広がっている。

飲みニケーションという言葉の定義はないにしろ、エン転職HPにて記載されている飲みニケーションの説明文をここに記しておく。

日本では、仕事を終えて飲みながらコミュニケーションを図る「飲みニケーション」がよく行なわれています。そう。上司からの「今日一杯どう?」のことです。あくまでも上司・先輩を含めた仕事仲間との時間だということですね。

エン転職「飲みニケーションって何?」

これに沿って言えば、飲みニケーションとは業務後のタテの時間ということになる。

コミュニケーションの手段として「お酒」を介することは、国外をみても至極普通のことである。しかし、日本ならではの飲みニケーションがあり、そしてそこにタテな関係性があるのではないか、というのがここで取り上げたいところである。

 

若手社員は飲みニケーションに積極的!?


 

飲みニケーションの実態に迫るべく、バカルディ ジャパン株式会社が行った調査をみていく。下図は、2019年に行われたもので「働き方改革と社内コミュニケーションの実態調査」から飲みニケーションに関係する項目を抜粋したものである。

 

上記サイトを参考に筆者作成
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これは、調査対象者1000人全体での割合を表している。ここからわかるのは、飲みニケーションの有用性を支持している人は全体の4割近くになるということだ。ネガティブに感じている人は2割にも満たない。時として、古き慣習として引き合いに出されることの多い飲みニケーションであるが、これが近年の実態のようだ。

続けて、年代別ではどうなのかをみていく。下図は、調査元が提供しているデータをそのまま引用したものである。

 

バカルディ ジャパン株式会社
「働き方改革と社内コミュニケーションの実態調査」より引用


 

このグラフから一目瞭然であるが、若者は他の年齢層と比較して、飲みニケーションの有用性を支持しているがわかる。20代に限っては、過半数がポジティブに捉えていることがわかる。

一見すると、若者は社内飲み会に辟易しているように言われることもあるが、実際にはそうでもないようだ。

 

上記サイトを参考に筆者作成
©️北欧情報メディアNorr


 

20代の飲みにいく回数の多さが際立つ。このデータだけをみると、若手だから上司からの誘いを断りづらいとも推測できる。もちろん、そう感じる人も一定数いるように思うが、先ほど確認した年代別のデータと合わせて考えると一概に言えない。つまり、飲みニケーションに積極的な傾向にある若年層の飲みにいく回数が増えるのは自発的なものであるとも言える。

どの年代においても、同僚と飲みにいく回数が一番多い。これについては自明ではあるが、やはり近い距離でコミュニケーションを取れることに心地よさを感じるのだろう。

続いて、同調査における飲みニケーションに対する具体的な声を確認したい。

 

上記サイトを参考に筆者作成
©️北欧情報メディアNorr

 

上記サイトを参考に筆者作成
©️北欧情報メディアNorr

 

上記サイトを参考に筆者作成
©️北欧情報メディアNorr

 

誰と飲みにいくにせよ、メリットとして上がっているものに「距離が近くなる/仲良くなれる」があることから、本来の「飲みニケーション」として機能していることがわかる。世代が離れているからこそ、「仕事上でのアドバイスが聞ける」や「若い世代の本音や価値観がわかる」などのメリットが上がった。しかしその反面、世代というタテの関係が裏目に出て、「説教される」「他人の悪口を聞かされる」「時間的な拘束」などのデメリットも上がった。

飲みニケーションに対する意見は他の調査でも上がっている。株式会社マイナビ(2018年寄稿)が独自に行った調査では、「気を遣う」「仕事以外で職場の人と関わりたくない」といった声が大きかった。

又、20〜30代に対して、「職場で飲み会に誘われたとき、行きたいかどうか?」といった質問に対し、「行きたい」が若干上回ったものの、約半数が「行きたくない」と回答した。40〜50代に対する同様の質問に対して、若者世代のように「行きたい」と「行きたくない」に大きな差はみられなかった。

年代問わず、「飲みニケーション」に対する違和感を感じる人は一定数いるようだ。アルコールを飲まない人も少なくはない昨今、ハラスメントという観点からみても、飲みの席でのコミュニケーションは多様化するだろう(先ほど確認したバカルディ ジャパン社の調査対象者は、アルコールを飲む人に限られていたという点を忘れないでおきたい)。

 

これまでの複数の調査結果からみてきたように、日本のコミュニケーションの手段として「飲みの席」が多用されることがわかるだろう。そして、そこには同僚などのヨコとのコミュニケーションのみならず、上司や部下とのタテのコミュニケーションにも多く利用されていることがわかる。

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