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【第2章】コミュニケーションにみる『タテ』と『ヨコ』

フィンランドではコーヒーブレイクが労働規約に!?


 

スウェーデンのフィーカについて確認したが、同じような文化がお隣の国フィンランドにもある。もちろん、前述の通り、1人当たりのコーヒー消費量を見ていただけると容易に想像できるのだが、ノルウェー、アイスランド、デンマークにおいてもフィーカのような習慣がある。

フィンランドではこのフィーカにあたるコーヒーブレイクを「カハヴィタウコ(kahvitauko)」と呼ぶ。「カハヴィ(kahvi)」はコーヒーを意味し、「タウコ(tauko)」は時間を意味するので、つまるところ「コーヒー時間」となる。

フィンランドが1人当たりのコーヒー消費量世界第1位であることは確認したが、なぜフィンランドが北欧の中でも群を抜いてコーヒー愛好家が多いのかは、労働規約を見ればわかる。

PAMというフィンランドの労働組合のHPには以下のように記載されている。

 

あああ

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【コーヒーブレイク(商業部門の場合)】

  • 労働時間が4時間以下の場合:なし
  • 労働時間が4〜6時間の場合:1回
  • 労働時間が6時間以上の場合:2回

※尚、「2度のコーヒーブレイクが業務の妨げになる場合には、1回の長めのコーヒーブレイクに代替しても良い」とある。

 

つまるところ、フィンランドでは恣意的であれコーヒーブレイクを取ることが労働規約に明記されているのである。これは世界でも稀有なルールで、唯一とも言われている。カハヴィタウコについては、関連記事「フィンランドのコーヒータイム『カハヴィタウコ』」も合わせて参照していただきたい。

 


なぜコーヒーブレイクを大切にするのか?


 

知人間でのコミュニケーションとして毎日のように楽しまれるコーヒータイム。スウェーデンでも多くの企業で、1日に2回(午前と午後)フィーカの時間が取られているようだ。筆者には、Klarna(スウェーデン発のデジタルバンクでオンライン決済で事業展開している企業)に勤務するギリシャ人女性がいるのだが、フィーカについてこんなことを言っていた。

「会社やプロジェクトごとに多少違いはあると思うけど、私のチームでは1日1回はフィーカの時間があって、週1回はきちんとオーガナイズされたものがあるわ。」

コミュニケーションやリラックスする時間として大切にされているのだが、実際にどれほど機能しているのだろうか?

フィーカやカハヴィタウコに代表されるコーヒーブレイクは「休息」であるがために、それがいかにしてプラスに働いているのかを見ていく必要がある。

事実、スウェーデンにおいて、労働時間内でのミーティングで新しいアイデアが生まれた割合は9%にしか過ぎないという調査結果もある。多くはフィーカなどのリラックスしている時に浮かぶようだ。これについて、確証はないしにろリラックスしている時に新しいアイデアを思いついたりした経験のある人は多いのではないだろうか?

このフィーカの効用についてルンド大学(スウェーデン)のトルボーン教授(Margareta Troein Töllborn)は、自身の研究結果より「フィーカは人々の福祉を向上させる効果がある」と主張している。

このフィーカに倣って、アメリカで行われた実験がある。情報工学者であり教授でもあるペントランド氏(Alex Pentland)は、フィーカと同じようにある職場で一同にコーヒーブレイクを取り入れるよう助言すると、その職場では生産性が向上し、さらに職員の満足度も10%ほど上がったというのだ。彼はこれについて、「チーム間でのコミュニケーションが円滑に行われ、仕事に関する内容だけでなくフラットに意見を交わせたことで生産性が上がった」と述べている。

 

ノルウェーにみるコーヒータイム(筆者撮影)

 

フィーカのような休息に関連して、長時間のランチ休憩がどのように労働者の生産性に影響しているのかを調べた研究がある。Tork(Essity社)が北アメリカにて行った調査結果について、Forbes誌はこのように考察している。

「日常的に昼食の休憩を取る労働者の81%が積極的に勤務先に貢献しようと働いており、ほとんどが仕事の満足度が高く、長期にわたる同社での勤務に肯定的であり、雇用主への信頼を置いている」

つまり、ここで言いたいのは休息がどれほど生産性とコミュニケーションにおいてプラスに働いているかということであり、加えてこれは北欧のみならず普遍的であり得るということだ。

労働生産性ということに関しては、公益財団法人日本生産性本部が発表している「労働生産性の国際比較(2019年)」にも相関性が見られる。この調査結果によると、北欧諸国の順位(36カ国中)はそれぞれ

  • ノルウェー(3位)
  • デンマーク(5位)
  • スウェーデン(12位)
  • アイスランド(13位)
  • フィンランド(14位)

であった。日本は21位とOECD諸国の平均値を大きく下回っている。

以上のような調査結果からわかるように、コーヒーに見るようなコミュニケーションとしての休息と労働生産性、仕事の満足度には大きな相関性があると言っても良さそうだ。

 

これまで北欧のコーヒー文化について見てきた。職場のポジションに関わらずフラットな関係でいられるのに、コーヒーが一役買っているのだろう。ホフステードによる権力格差指標(PDI)を見ても明らかなように、北欧の職場においてタテの壁は限りなく薄い。そうした企業風土の上にコーヒーがヨコの関係性を確かなものにしているのだろう。

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